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「中1の竹取物語全文読破、そして「生命(いのち)の安全教育」」中学部長(国語科)

投稿日2026/2/7

本校の中学1年生は1年間かけて竹取物語の全文を読破します。
内容の説明ももちろんしますが、とにかく全文を声に出して読むのです。
中1生徒にとってはかなりハードルが高い取り組みですが、ただ内容を理解するだけではなく、竹取物語という古典テクストを使って、現代日本のジェンダー観や幸福観について考察もします。
今年もじわじわと盛り上がりつつ、物語はクライマックスを迎えています。

古文単語も学習します。
単なる知識として学ぶのではなく、「古語」を学ぶことで、「現代の言葉」を見つめ直します。

例えば「まもる(守る)」。
「ま」は古代「目」を表していたこと、例えば「まつ毛」は「目の毛」であり、「まなこ」は目の真ん中「目の子」のことだと(「目(ま)の当たりにする」という言葉もあります)。
「まもる」とは「目」を一点に「盛る」、つまり「見つめる・凝視する」というのが古来の意味であると。
「見つめる」という意味から現代の「守る」につながっているのだと。
中1諸君は「なるほど〜」という反応をします。
全ての「言葉」には現在に至るまでの意味の来歴があり、古文を学ぶということは、長い歴史の中で変遷してきた、その語句や言葉遣いが含む、豊かな意味の広がりを味わいつつ、物事の深い理解に生かすことだと私は考えます。

話は変わりますが、2学期末から3学期にかけて中学では全学年で「生命(いのち)の安全教育」を行いました。
助産師の方、弁護士の方、本校相談室のカウンセラーの方をお招きし、生命を生み出す「性」について、自己と他者を守るために押さえておきたい大切なことについて、さらには他者との適切な心と体の距離について、それぞれの講師の方々にお話しいただきました。

そこで私は生徒に「大人になること」について話しました。
「大人になるとはどういうことか。
今まで君たちは誰かに「守ら」れてきました。これからは君たち自身が自分と他者を「守る」。それが大人になるということです」
このように話しました。
講演してくださった方々はそのために大切なことを伝えてくださいました。

翻って「守る」の古来の意味を重ねてみます。
私たち大人は子どもをしっかりと「見つめ」て、子どもを「守り」、そして子どもは大人になるために、かつて大人によって自己に向けられていた「眼差し」をしっかりと自己と他者に向ける、そうして自己と他者を「守る」、そういうことなのだと思います。
「守る」のベースは、しっかりと眼差しを向けて「見つめる」ことであると、古典文学は私たち教育に携わる者に教えてくれるのです。
少々理屈っぽいことを申しました。
国語教員の性ですね。

さて竹取物語はいよいよ佳境。
今年は、ラストにしみじみと涙を浮かべる生徒が多くいるような予感が今からしてなりません。