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「興味のない文章を読む練習にご利用ください」中学2年B組副担任(理科)

投稿日2025/7/27

 教壇に立ち始めてから10年経つが、未だに生徒の(学力面での)成長のきっかけというのは掴めていないというのが正直なところだ。今回は思考の整理も兼ねて私自身の学力面での成長について書いてみようと思う。言ってしまえばこの記事は長~~~い自分語りなので見苦しいかもしれないが、文章読解力を身に付ける練習、もしくは確認する媒体として読んでほしい。集中せずに適当に読むと単語だけ拾って脳内で好き勝手につなげてストーリーを勝手に組み上げてしまう。文章を良い意味で鵜呑みにする能力は重要である。

 私の成績が明確に伸びたのは中学2年生の後半である。問題行動は特に起こさないが授業に全く集中しておらず、最も苦手な世界史では27点を記録するような舐めた生徒だった(中学の社会科で20点台は驚異的な低さである)。兎にも角にも集中力が長続きせず、授業内容が全く頭に入ってこなかった。その結果聞いていても面白くないので余計に集中できず・・・のループである。どうするんだこれ。

 一方で、好きだと思えることに対しては人並みには集中力を保てた。小学校3年生の頃、かいけつゾロリと昆虫図鑑、鉱物図鑑(全て挿絵や図がついていてとても読みやすい)以外に一切興味を持てなかった私が唯一読めた文字だけの本がファーブル昆虫記である。全8巻を1か月で読み切ったのは私の中では(小学生であることも加味して)驚くべき偉業である。本に影響されて校庭にいたセミを捕まえて食べてみたり、サソリの求愛のダンス~!とはしゃぎながら幼馴染と手をつないで謎の踊りをしたりする異常者が爆誕したが。さらに中学2年の中頃、図書室で「キノの旅」というライトノベルを発見し、試しに読んでみたところ1日で4冊読み切るくらいのドはまりをした。ライトノベルは挿絵や表紙が美少女のイラストであることが多いため、恥ずかしさを隠すために「これ先生が面白いって言っててさあ!(大嘘)」と苦しい言い訳を述べながら母親にたくさん買ってもらったものである(こんな恥ずかしい言い訳に突っ込まずに笑顔で買ってくれた母親には大変感謝している)。そうして様々なライトノベルを読み、見事にオタクが醸成されたわけである。オタクになったのは世間的には(当時の価値観としては)良いことではなかったかもしれないが、明らかに文章を読む能力が劇的に向上し、文章を良い意味で鵜吞みにする能力も上がった。

 そんなこんなで順調にオタクロードを歩んでいた中2の2学期、突然転機が訪れた。転機と言ってもそんなに劇的なものではない。たまたま英語の時間にto不定詞の使い方を理解したのである。to不定詞の使い方は慣れてしまえば難しくはない。本当にこれだけのことで、ずっと40点台だった英語の得点が80点台まで向上したばかりか、他の科目まで一斉に上がった。

 to不定詞の使い方を理解しただけで成績が上がったのはわかりやすい理由がある。先生に褒めてもらえたからだ。私は成績こそ悪いが、大人のことは基本的に好きであった(どちらかというと嫌いになる理由を自分の中に見出せなかった)。単純な私は、褒めてもらえたというただ一点だけでそれ以降の勉強が楽しかったのだ。今思うと自尊心が相当低かったのだろうと思う。加えて、文章の読解能力だけはずっと磨き続けてきたことが大きく関与していると考えられる。どんなにモチベーションがあっても書いてあることが理解できないのであれば立ち止まってしまう。が、文章だけは読み続けていたのでモチベーションと集中力さえあれば勝手に伸びる状態になっていた。なんとなく学習をすること自体が好きになってきたので集中力を保つこともでき、この点においても文章を静かに集中して読む癖をつけていて良かったと思う。

 別にこのことは教わった先生たちには伝えていない(気恥ずかしいため)。先生たちからするとこいつなんで急に成績上がったんだよという感じだったと思う。しかし、子どもにはそれぞれ様々な伸びるきっかけがあるものだ。教員として、このような表には出ない様々な伸びるきっかけをこぼしてしまわないように声かけをしていきたい(もちろん、そういうコミュニケーションを好まない生徒がいることも留意する必要がある)。

最後に成績が伸び悩んでいる子に意識してもらいたいことを書いておく。内容は先ほどのものとある程度重複する。

①文章を集中して読解する能力は最も重要である。活字を読むのであればライトノベルのようなカジュアルなもので全く問題ないし、なんなら漫画だって良い。ただし、1冊読む間にスマホなどの端末には極力触れないでほしい。自分の世界に入り込む(孤独になる)力を養うためだ。漫画で言うと私のおすすめは「図書館の大魔術師」である(シンプルにストーリーが面白いが、執念すら感じる世界観の作りこみとその描写によって内容に引き込まれやすい。集中して何かを読む練習に最適である)。

好きすぎて学級文庫にも置いてしまった

②何事もとりあえずめんどくさがらずにやってみるよう意識してほしい。正直面倒なものは面倒だと思うし、私も書類作業などは非常に億劫だと思うが、ギリギリまで放置する癖がついてしまうと本当に今後の人生に差し障るしメンタルにも良くない。とにかく手を付けること。最終的に受験は運次第という側面もあるが、やることをやっていない者は運の抽選権すら得られない。

 改めて読み返してみると本当に自分語りすぎる。こんなものをインターネット上に魚拓として放流するのは気が引けるが、本日が記事の締め切りなのでこのまま提出する。上記②の通り、みなさんはやるべきことには早く着手しましょうね。