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「理系ミステリーの金字塔」高校2年B組担任(数学科)

投稿日2026/7/11

今日は、理系の方にも本好きの方にも全力でおすすめしたい小説をご紹介します。

作品は、森博嗣さんの『すべてがFになる』です。

本題に入る前に、著者である森博嗣さんについて簡単に触れさせてください。

森さんはもともと小説家だったわけではなく、名古屋大学工学部の助教授を務めていた、理系学者であり工学博士です。そのため、どの作品にも理系の専門知識が豊富に盛り込まれています。驚くべきは、30年も前の作品であるにもかかわらず、現代で発展しているAIやホログラムのような技術がすでに描かれていたりします。

そんな森博嗣さんの作品の中で、私が特におすすめするのが、先ほど挙げた『すべてがFになる』です。本作は第1回メフィスト賞を受賞しており、私は理系ミステリーの金字塔だと思っています。

登場人物は「人類最高峰の天才科学者」「天才肌の大学准教授」「並外れた計算能力を持つお嬢様」といった、桁外れの頭脳の持ち主ばかり。天才vs天才のミステリーです。

ミステリーとしての鮮やかなトリックに感心するのはもちろんですが、本作の一番の魅力は、彼らの知性的で常識にとらわれない会話や、思考プロセスそのものにあると私は思っています。

作中、私が特に好きなのは、思い出と記憶の違いについて語られるこちらのセリフです。

「思い出は全部記憶してるけどね、記憶は全部は思い出せないんだ」

人間にはコンピューターやAIのような完璧な記憶装置はありませんが、その代わりに思い出という主観的で美しいシステムが備わってと思わせてくれるような、とても素敵な言葉だと思っています。

これから迎える夏休み、ぜひこの作品を手に取って、天才たちが繰り広げる知性の美しさに浸ってみてください。

ちなみに、この作品は「S&Mシリーズ」と言われるシリーズの1作目になります。このシリーズは10作品あってどれも文章量が多く読み応えがあります。ぜひ森博嗣沼にはまりませんか。